思い描く空の色

冬が終わり、アプローチの枕木に空いた穴の中で冬眠していたカエルたちが一斉に鳴き始め、青空の下へと飛び出していきました。進級、進学、就職、たくさんの人が人生の新たなステージを迎える季節です。不安と期待が入り交じった静かな興奮を胸に、空を見上げて歩いていく。そんな気持ちを思い出しながら、今週末もホタルカフェで皆様をお待ちしたいと思います。

青空をバックに咲き誇る桜の花。新しいことにチャレンジする気力が漲ります。

青空をバックに咲き誇る桜の花。新しいことにチャレンジする気力が漲ります。

旅先で偶然手にした本の中にこんな言葉がありました。

“I believe that if one always looked at the skies, one would end up with wings.”

いつのときも空を見上げていれば、いつか翼を手にすることができる。志を高く、大きなビジョンを持って努力し続ければ、それを実現する手段を身につけられるはず。フランスの小説家ギュスターヴ・フローベール(Gustave Flaubert)の言葉です。

この引用文をGoogleで検索してみたところ、「空ばっかり見上げてたら、つまずいて病院送りになる」とか「空なんて見上げて翼が生えてくるのを待っているくらいなら、自分で翼を作れ」なんていういろいろな見方をしている人たちがいて、人によってこんなにも解釈や心への響き方が違うんだ、と何だか妙に感心しました。

ただ、僕の心にはポジティブな響きしか届かなかった。「空を見上げて夢見てたらいつか叶うよ」というような表面的な意味ではなくて、自分が目指したいところがあるのならば、今の自分がそこからどれだけ遠い場所にいようとも、自分の立ち位置を認識して、ひとつひとつ積み重ねていく。自分を奮い立たせ、一歩でもそこに近づくために、目指す場所がどんなところなのか、いつも頭の中で鮮明に思い描いておく。

空がどこにあるのか、どんなところなのか。その空を飛ぶためには何が必要なのか。自分は何を持っていて、何が足りないのか。空を見上げつつも、足元をしっかりと見つめて、コツコツと積み重ねていく努力をする。そして、いつかその空を飛ぶための翼を手に入れたとき、想像していたよりもずっと素晴らしい景色が広がっているのではないかと思う。

不安やエゴや世間体という名の雲に覆われてしまうときもあるけれど、その雲の向こう側には、自分が思い描いている空が確実にあると信じること。暗く厚い雲が立ちこめて方向感覚を失い、ホタルカフェがどこへ向かっているのか、わからなくなることもあります。そんなときには必ずと言っていいほど、お客様の言葉や笑顔がその雲を追い払ってくれる。そして目指す空の色や表情をもう一度思い出させてくれるのです。

そうやってお客様をはじめとするたくさんの人たちに支えられ、ホタルカフェは自分たちの力だけで立っているのではないことをいつも実感しています。だから、支えてくれるみんなに、感謝の気持ちをお返ししていけるホタルカフェであり続けるため、これからも自分たちが目指す空の色をはっきりと思い描き続けようと思います。

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