自分と仕事の関係
最近、自分と仕事の関係について考えていました。ホタルカフェとウェブデザイン、それといわゆる仕事以外でも、自分がやること全てと自分自身の関係。なんでこうなっちゃうんだろうっていうこともあれば、思わず笑顔になってしまうようなこともある。以前は意識していなかったことだけど、自分がすることの中にはいつも自分自身がいることに気付きました。
2年半前に自分たちの手で仕上げたホタルカフェの内装。初めてのことばかりだったけど、Nagaiki-工房さんに道具の使い方を教わりながら、とにかく必死で作り上げました。出来上がった店内を見渡したとき、「できた!」という感動の前に「ああ、やっちまったなあ」という何か気恥ずかしいような、ガックリくるような、そんな気持ちで座り込んでしまったのを覚えています。
きっと内装のそこら中に自分自身の姿を見ていたのだと、今になって思う。色使いや全体のデザイン。慎重さ、詰めの甘さ。誰も気付かないようなところに神経質になる一方で、やたらと大雑把な部分。そのときは目を逸らしたかったことだけど、今は自然と受け入れられる気がしています。
ぼくたち自身が今まで経験してきたこと、経験してこなかったこと。延々と考えてきたこと、考えたことのないこと。出会った人々、訪れた街、食べてきたもの、これまでに観た映画、聴いた音楽、読んだ本。そしてもともとの性質。どんなにあがいても、どんなに見栄をはっても、どんなに洗練されたスタイルを真似てみても、ホタルカフェという場所は、ぼくたちの価値観や存在そのものを投影したものにしかならない。だから逆に言えば、ぼくたち自身が少しずつ変わっていくことで、ホタルカフェも少しずつ変化していく。
もう15年近くもやってきたウェブデザインの仕事に、ある種の虚しさを感じ続けてきたのは、きっと自分自身と向き合うことを避けながら、自分ではない違う誰かのスタイルを真似て、表面的な部分だけを小手先でちょこっといじってきただけだから。自分じゃなくても誰でもできることだよって、いじけた気持ちで開き直って、ただこなしてきたんじゃないか。そしてそんな気持ちでやった仕事の中にも、いつも自分自身を見つけては、そこからサッと目を逸らして、虚しさの原因を自分以外の何かに押しつけてきた。たぶんそうだと思う。
仕事に限らず自分がすることは何でも、自分の中のある側面が、必ず影響していることを認めたら、少し気持ちが軽くなりました。良い意味で諦めがついたとも言えるかもしれません。だからどうせならぼくたちの中の良い面が、ホタルカフェに影響していったらいい。決してぼくたちの趣味趣向を押しつけるという意味ではなくて、ぼくたち自身がこれからもいろいろな経験をして、悩んで、考えて、たくさん楽しんで、それが自然にホタルカフェに影響していけばいいと思います。
これまでたくさんのお客様に出会えたこと、これからもきっとたくさんのお客様に出会えることに感謝して、ぼくたち自身の存在から目を逸らすことなく、謙虚な気持ちを忘れずに。ホタルカフェはいつもホタルカフェであり続けること、それを大切にしていきたいと思います。