想像すること
とてもうれしいことに、ホタルカフェがオープンして以来、地元の方がいらっしゃらない日が、今のところまだありません。ちょっと忙しい日も、とてつもなく暇な日も、必ず誰かしら地元の方が来てコーヒーを飲んでくれる。お孫さんと一緒に来たり、近所の友達連れで来たり、おひとりで来たり。「こうなったらいいなあ」が少しだけ実現しつつあります。
遠くから車でホタルカフェを目指して来てくれる方々と、日常生活のほんの一部としてホタルカフェを利用してくれるご近所の方々。どちらかが居心地悪かったりするのではなく、どちらも思い思いにリラックスして過ごせる場所をいつも想像しながら、この場所を作ってきました。都市部から来る方々には、美味しい空気と緑に包まれた空間を、地元の方々には「カフェ」という場所そのものを楽しんでもらえたらいいなあ、って。
地元の方々に関しては、農作業の合間に長靴のまま立ち寄って、コーヒー飲んで「ごちそうさん!」なんて、そんな使い方をしてもらったら、もう最高。しかもこのあたりでは馴染みのないエスプレッソベースのコーヒー。でもそうやって想像していたことが、今ここで実際に起き始めています。これから先も続くかどうかなんてわからないし、「文化として定着させよう!」なんて大それたことを考えているわけでもないのですが、そんな使い方をしていただけるときには、いつでもお迎えできる準備はしておきたい。
こうなったらいいなあ、と思い描いていたことが、今は想像通りに起きてくれている(人通りの少なさも想像通りですが)。ぼくたちが常々考えている、大雑把だけど案外はっきりした方向性のようなものがあって、今のホタルカフェは実は結構そのど真ん中を、ゆっくり、ゆっくりと歩いているような気もします。
ものすごく暇なときもあるし、タルトやキッシュが売れ残ってしまえば残念な気もします(でも自分で食べちゃえるからちょっとうれしくて複雑です)。だけど、みんなの笑顔を見ていたら本当に幸せで、ときには涙が出るほどうれしいこともある。
だからこれからもたくさん想像しようと思う。たくさんの笑顔と、やさしい空気と、そしてときには満席で活気に満ちあふれるホタルカフェを。今よりもっと良くなることだけ想像して、想像しながらこっそりうれしくなって、そのうれしさを活力と勇気に変えていきたい。そして少しずつでいいから、想像していたことが実現していくように、明日もまたがんばります。