ぼくたちがしばらく暮らしていたニュージーランドでは、ほぼ全てのカフェでエスプレッソベースのコーヒーを提供していて、中でもぼくが日常的に愛飲していたのが「フラットホワイト」。元々はオーストラリアとニュージーランド特有のメニューですが、最近はイギリスでも広まっているらしい。ホタルカフェでもジワジワとオーダーが増加中です。

エスプレッソにミルクを注いだものといえば、カプチーノやカフェラテがあります。どちらのメニューも、そのお店がイタリアのスタイルなのかシアトル系なのかで違うものが出てくるようです。ホタルカフェでエスプレッソを出すと決めたとき、「イタリアかシアトルか、どっちかに決めないと！」ってほんのちょっと考えてはみたのですが、結局いちばん馴染みの深いニュージーランドのやり方にすることに。

イタリア系とシアトル系、きっとそれぞれメニューの名前とレシピの定義があるのだと思います。ただぼくはどちらもよく知らなくて、知らないからあまり思い入れもなく、思い入れがあるのはニュージーランドだから、という物ぐさ且つ単純極まりない理由で、ホタルカフェのメニューを決めました。そうなると「フラットホワイト」はどうしても外せない。

でもこのフラットホワイト、説明するのがちょっとややこしいのです。まず、カプチーノと聞いて「泡がフワフワのっているやつ」を思い浮かべる方、フラットホワイトにフワフワの泡はほとんどありません。そして次にカプチーノと聞いてハートとかリーフなどのラテアートが施されているような表面がフラットなものを連想した方。フラットホワイトはそのカプチーノとほとんど違いがありません。ただ泡の層は気持ち薄め。やっぱり上手く説明できません、、、。

つまり「ミルクが入っているコーヒーを飲みたいけど、あんまりミルクたっぷりじゃないやつがいい、という方にはピッタリのメニュー」ということでしょうか。ホタルカフェのメニューには、実はカプチーノがありません。というのも人によってカプチーノのイメージが違っている上に、フラットホワイトとの違いが、人によっては微妙すぎてややこしい気がしたのです。

それでも、メニューにはないカプチーノのオーダーが入った場合には、フォームドミルク（空気を含んだフワフワしたミルクです）を多めにして、フラットホワイトとの違いをあえて出すようにしています。

ミルクたっぷりがお好きな方はカフェラテを、ミルクは欲しいけどそんなにたっぷりじゃなくていい方はフラットホワイトを、「コーヒーはブラックに限る！」という方はアメリカーノをご注文ください。

ちなみに「アメリカーノ」はエスプレッソをお湯で割ったもので、ニュージーランドでは、エスプレッソのことを「ショート・ブラック」と呼ぶのに対して、「ロング・ブラック」と呼んでいます。

ニュージーランドのやり方で行くと決めたのに、ロング・ブラックという呼称を使わずに、「アメリカーノ」を使っているという、この中途半端ぶり。これには深い事情がありまして、いわゆる「アイス・コーヒー」の役割を果たすものとして、ロング・ブラックの冷たいバージョンを出したかったのですが、「アイス・ロング・ブラック」というと、これはもうなんの飲み物だかわからない感じで、結局「アイス・アメリカーノ」と呼ぶことにしました。そうなるとアイスはアメリカーノなのにホットはロング・ブラックってのもおかしなもんだ、という訳でホットもアメリカーノに統一しましょう、ということになったのです。でもお客様は「アイスコーヒー2つ！」って注文したりして。

散々考えたけど、ロングブラックかアメリカーノかなんて結局どうでもいいんです、、、。

今週から登場したりんごとフロランタンのタルト。写真は試作品を食べ散らかしてるところ。